パパだよ。
あれは「おっぱいの人」だよ
赤ちゃんの成長は早い。
あっという間に大きくなっていく。
僕の腕の中でウトウトするばかりだった娘はいつの間にか、ママじゃないと嫌々とぐずるようになった。
悔しいから、赤ちゃんの前では妻のことを「おっぱいの人」と呼ぶようにしている。
「ママ」よりも先に「パパ」と言わせるための戦略である。
娘の成長は嬉しいけれど、寂しい。 すごい勢いで成長する娘を眺めていると、自分が老いていく存在であることを思い知らされる。
悔しいから、バウンサーでボヨンボヨンすることしかできない娘の目の前で、反復横跳びを見せつけている。
その反復横跳びも、ながくは続かない。
やはり、なにをしていても老いを感じる。
内臓も関節も、メシメシと音をたてて刻一刻と着実に老いている。
寂しいけれど、僕の命と娘の命のベクトルは違うようだ。